研究目的と内容

はじめに

生活習慣と病気の関係について聞いたことがあると思います。例えば、太りすぎは心臓に悪い、お酒の飲み過ぎは肝臓に良くない、タバコを吸うと健康を害する……。
実は、これらは長い時間をかけて疫学研究を行った結果、わかってきたことなのです。
多くの人々の健康状態、生活習慣、周囲の環境などを調べることで、様々な病気の広がりや原因を明らかにし、予防や治療の方法を探ることができます。こうした研究により、例えば、肺がんと喫煙の関係や、胃がんへのピロリ菌の影響などがわかり、私たちの健康状態の改善や向上に活かされています。

調査の目的

J-MICC STUDY(日本多施設共同コーホート研究)は、10万人以上の人々の健康状況を20年にわたって追跡し、どのような人がどのような環境の下でどのような病気になりやすいかを調べるものです。生活習慣、遺伝子型、血液成分の組み合わせと病気の関係を調べることで、がんやその他の生活習慣病の原因を検討します。そして、体質を考慮したがんを含む生活習慣病の予防対策に必要な基礎資料を提供することを目的としています。
この研究の成果は、みなさまに直ちに反映されるものではありませんが、みなさまの子どもや孫、さらに次の世代の人々の健康維持向上のために活かされます。国内だけではなく、世界の人々の健康増進にも役立てられる予定です。

調査の方法

  1. 平成17年度~平成25年度ベースライン調査
  2. 平成22年度~平成30年度第2次調査
  3. 平成17年度~平成36年度追跡調査
  4. 平成28年度~ベースライン調査 (第二次分)
ベースライン調査
ご自身の生活習慣や健康状態などに関する健康調査票への記入をお願いします。同時に、血液を採取させていただきます。血液は長期間冷凍保存し、血液成分や遺伝子の解析に用います。登録時に健診(検診)を行う場合には、その情報の提供もお願いいたします。
第2次調査
登録してからおよそ5年経った時点で、登録時と同様に健康調査票への記入をお願いし、血液を採取させていただきます。
追跡調査
最初の登録時から平成36年(2024年)度まで最長20年間(ただし、途中で追跡期間を見直す場合もあります)参加者の健康情報を追跡します。追跡とは、あなたの健康状態を把握することです。そのために郵送などで健康状態をお尋ねしたり、定められた手続きに則り死亡診断書の写し(死亡小票)や住民台帳の閲覧、病院への照会、がん登録などの情報を入手します(地域により用いる情報は異なります)。
もし20年経つ前に亡くなられるようなことがあった場合には、その時点で調査は終了となります。また登録した地域から引っ越された場合も、その時点であなたの調査は打ち切りとなります。

参加された方の個人情報は、調査の目的以外に利用されることはけっしてありません。すべての情報は、個人情報を伏せたかたち(匿名化)でJ-MICC STUDY中央事務局(名古屋大学大学院医学系研究科予防医学)に集められ、厳重な管理の下で解析を行います。個人が特定されたり、情報が漏れたりすることのないよう、細心の注意を払います。

調査の対象となる方

  1. 調査に参加する研究施設の定める地域にお住まいの方
  2. 参加医療施設を受診される方

で、35歳~69歳までの、男女それぞれ5万人程度(計10万人)を全国各地で募集します。現在、16か所の地域や施設の参加が決まっています。本研究への参加に関しては、対象となる方に、調査スタッフが参加協力のお願いをいたします。参加を依頼されても、調査に参加する、しないはみなさまの自由であり、参加しないことで不利な扱いを受けることはまったくありません。

研究の財源

この研究は、文部科学省科学研究費補助金の特定領域研究「分子疫学コーホート研究の支援に関する研究」(平成17~21年度)、新学術領域研究「生命科学系3分野支援活動」(平成22~27年度)および新学術領域研究「学術研究支援基盤形成」(平成28年度~令和3年度)、学術変革領域研究「学術研究支援基盤形成」(令和4年度~)から助成を受けています。