日本人一般集団の乳製品の摂取と死亡リスク:12年間の追跡調査

研究ファイルNo.107:日本人が日常的に摂取している程度の乳製品摂取は死亡リスクを下げる?

 乳製品を食べることは健康的な食習慣の要素の1つとしていろいろな国で推奨されています。しかし、欧米からの最近の研究では、乳製品をよく食べることが死亡リスクを下げる・下げない・関係しない、と結果が一致していません。また、日本人の乳製品の摂取量は欧米人よりかなり低く、アメリカ人の半分程度です。同じ食品でも摂取量によって疾病や死亡のリスクとの関連が違うことがあるので、日本人にとって乳製品が死亡リスクを下げるかどうかを知るためには、日本人を対象とした検討が必要です。

 そこで、日本全国の35~69歳の男女を対象に実施した日本多施設共同コーホート研究(J-MICC)の参加者79,715人のデータを用いて検討してみました。その結果、牛乳やヨーグルトといった乳製品をよく食べる女性は、そうでない女性に比べて12年間の追跡期間中の死亡リスクが19%低いことが明らかになりました。

 乳製品の種類別でみると、男女ともにヨーグルトをたくさん食べるほど死亡リスクが低く、女性では牛乳をたくさん飲むほど死亡リスクが低くなりました(図1、図2)。

図1

図1. 日本人におけるヨーグルトの摂取と総死亡リスクの関連

また、死因別でみると、女性では牛乳をたくさん飲むほど、がんによる死亡リスクが低く、ヨーグルトをたくさん食べるほど、脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患による死亡リスクが低くなりました(図2)。男性では、乳製品の摂取と死因別の死亡リスクに関連はみられませんでした。なお、今回の検討では、データがないため低脂肪の乳製品か普通の乳製品かを分けて検討することはできませんでした。

図2

図2. 日本人女性における牛乳およびヨーグルト摂取と死亡リスクの関連

 この研究の結果から、日本人が日常的に食べている程度の量のヨーグルトの摂取は男女ともに、牛乳の摂取は女性において、死亡リスクを低くすることに繋がる可能性が示されました。

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