日本人閉経後女性における性ホルモン結合グロブリンと脂質異常症の関連

研究ファイルNo.109:日本人の閉経後女性で、脂質異常症と深く関連する性ホルモン関連因子は?

 閉経後の女性では、女性ホルモンが減ることで血液中の脂質バランスが崩れやすくなり、動脈硬化や心臓病のリスクが高くなることが知られています。
一方で、性ホルモンそのものだけでなく、それらを血液中で運ぶ「性ホルモン結合グロブリン(SHBG)」というたんぱく質も、代謝や生活習慣病と関係しているのではないかと注目されています。

 今回、J-MICC研究に参加した閉経後の日本人女性570人を対象に、血液中の性ホルモンに加えてSHBG濃度と脂質異常症の関連性を調べました。

 その結果、SHBG濃度が低い人ほど、脂質異常症を持っている割合が高いことがわかり、特に中性脂肪が高い状態や、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い状態と強く関連していました(表1)。

 また、SHBGがどの程度、脂質異常症の「目安」になるかを評価したところ、エストラジオール(E2)など他の性ホルモンよりも、SHBGの方が脂質異常症の有無を識別する能力が高いことが示されました(図1)。その識別能は中等度であり、SHBG濃度だけで脂質異常症を診断できるわけではありませんが、将来、他の検査項目と組み合わせることで、閉経後女性の脂質異常症や心血管疾患リスクをより早く見つける一助となる可能性があります。

 この研究は一時点のデータを用いた横断研究であり、SHBGが低いから脂質異常症になるのか、脂質異常症やその背景にある肥満やインスリン抵抗性(インスリンの働きが鈍くなること)がSHBGを低下させるのか、といった因果関係は今後の縦断研究で検証が必要です。

 しかし、本研究を通して、閉経後の日本人女性において、SHBGが脂質代謝と深く関連していることが示された点は、今後の閉経後女性における脂質異常症の予防や治療戦略を考えるうえで重要な手がかりになると考えられます。

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