研究ファイルNo.105:コーヒーを飲むと「やせホルモン」が増えるのか?
コーヒーは世界中で飲用されている飲料の一つで、死亡リスクや様々な病気のリスクを低減させる可能性があると報告されています。これまでの我々の研究でも、コーヒーを多く飲む人(特にフィルターコーヒーやインスタントコーヒー)は、循環器疾患やがんのリスクであるメタボリック症候群やその構成因子(高血圧、高血糖、高中性脂肪、低HDLコレステロール)を有する割合が低いことが分かっています(研究ファイルNo.89 )。今回我々は、このような関連がみられたメカニズムとして「アディポネクチン」が関与しているのではないかと考えました。
アディポネクチンは、巷では「善玉ホルモン」や「やせホルモン」と呼ばれることもあり、血液中のアディポネクチン濃度が高いと、①体内の脂肪を燃焼させる、②動脈硬化になりにくくなる、③インスリン(血糖値を下げるホルモン)の効果が高くなるなどのメリットがあることが分かっています。しかし、このアディポネクチンの血中濃度は、肥満のある方では低いことも分かっています。
このような背景から我々は、肥満の有無に分けてコーヒー摂取量と血中アディポネクチン濃度の関連を検討することとしました。 続きを読む