研究ファイルNo.101:肥満と代謝異常の組み合わせでがんリスクが変わる?
肥満は世界中で深刻な公衆衛生上の問題の一つです。肥満を抱える人は世界、日本で増え続けています。また、肥満はその他の代謝異常(高血圧、高血糖、脂質異常)とともにメタボリック症候群を形成し、循環器疾患やがんのリスクと関係することが知られています。一方で、肥満はあるけれど、その他の代謝異常は無く健康な人もいれば、肥満はないけれど、その他の代謝異常を抱えて不健康な人がいることが注目されています。このような肥満の有無と、その他の代謝異常の有無による分類を「代謝表現型」と言います。
代謝表現型それぞれは遺伝的背景も含めて病態に違いがあることが示唆されています。代謝表現型と全がん、部位別がん罹患との関係性について、ヨーロッパにおける研究がいくつか知られています。一方で、肥満の有病率は少なく、かつ肥満の健康への影響は大きいことが示唆されているアジアでは、十分な検討はなされていません。また代謝表現型は通常、検査データを用いて定義づけを行いますが、一人ひとり検査を行うことは時間とコストがかかります。自己申告の既往歴の情報で定義することができれば、より簡便であり大規模な研究を行う上で有用です。本研究では代謝表現型とがんとの関係性について検査データ、自己申告の既往歴の情報それぞれで定義した代謝表現型を用いて検討しました。 続きを読む