お酒への強さに関係する遺伝子にも地域差

研究ファイル No.8: 生活習慣や健診データに関係する遺伝子型の地域差

 J-MICC研究では、遺伝的要因と生活習慣や健診データなどとの関係を調べるため、全国10地区で研究に参加されている方の中から4519人について、108種類の遺伝子型(タイプ)を調べました。その結果、遺伝子型の中には、地域によって頻度にかなりの差があるものもあることがわかりました。

 たとえば、お酒に含まれるアルコールを肝臓などで処理する能力(酵素活性)と関係する遺伝子の1つにALDH2(アセトアルデヒド脱水素酵素の働きを決めている遺伝子)があり、ある遺伝子のタイプ(487Lys)は他(487Glu)よりも処理能力が低く、お酒への「弱さ」と関係しています。さらに487Lysタイプを父親か母親のいずれか、あるいは両親から引き継いだ人が多量飲酒をしていると、食道がんや肝臓がんになりやすくなることもわかっています。この遺伝子の頻度(ALDH2の遺伝子の487番目のアミノ酸を決定する配列の中で、その箇所にリジンを作り出す配列であるものの頻度:アレル頻度)には、図に示すように、地区により3倍近い差がありました。

ALDH2遺伝子 487Lys の頻度が高い→お酒が弱い人の割合が高い

ALDH2遺伝子 487Lys の頻度が高い→お酒が弱い人の割合が高い

出典:

  • Wakai K, Hamajima N, Okada R, Naito M, Morita M, Hishida A, et al. for the J-MICC Study Group. Profile of participants and genotype distributions of 108 polymorphisms in a cross-sectional study of associations of genotypes with lifestyle and clinical factors: a project in the Japan Multi-Institutional Collaborative Cohort (J-MICC) Study. J Epidemiol. 2011;21:223-235.
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