研究ファイルNo.14: あまみ島嶼地域住民は日本健常集団より動脈硬化の値が低い
鹿児島県のあまみ島嶼地域は長寿者の割合が多い地域です。一方、がんや心臓病、糖尿病などの生活習慣病は本土地域ほど多くはないものの、生活習慣の変化に伴い増加しつつあります。動脈硬化は心臓病や脳卒中、糖尿病に深く関わっています。
最近開発されたCardio-ankle vascular index (CAVI)通称「キャビ」は、動脈硬化の程度を数字で示すことができる測定方法の1つです。
J-MICC研究に参加されたあまみ島嶼地域の一般住民4,523名と、鹿児島県本土の一般住民440名の動脈硬化の値をキャビを用いて調べました。さらに、動脈硬化の危険要因を持っている人を除外した日本全国の健常集団5,969名の動脈硬化の値とも比較しました。
あまみ島嶼地域は、鹿児島県本土に比べ、男女とも動脈硬化の値が低く、日本健常集団に比べても男性でほぼ同じ、女性では低い値を示しました。
今回の研究で、動脈硬化の分布に地域差があることが明らかになりました。あまみ島嶼地域の動脈硬化値が低い理由として、これまでの良い生活習慣や遺伝的な背景の違いが影響している可能性が考えられます。
あまみ、鹿児島県本土、日本人健常集団におけるCAVI値
- 男性
- 女性
出典
- Kazuyo Hirasada, Hideshi Niimura, Takuro Kubozono, Akihiko Nakamura, Masaya Tatebo, Shin Ogawa, Noriko Tsunematsu, Shirabe Chiba, Toshifumi Matsushita, Ken Kusano, Masaaki Miyata, and Toshiro Takezaki: Values of cardio-ankle vascular index (CAVI) between Amami islands and Kagoshima mainland among health checkup examinees. Journal of Atherosclerosis and Thrombosis. 2011; 19(1): 69-80.