血液中の中性脂肪値に関連する遺伝子多型

研究ファイルNo.26:near MC4R遺伝子多型は中性脂肪血中濃度に影響を与えている

 私たちの血液中の中性脂肪の値は、高すぎると脂肪肝や動脈硬化を引き起こすことが知られています。血液中の中性脂肪は、ほとんどが食事由来であり、肝臓でも合成されますが、遺伝の影響もその量に関係している可能性が考えられます。中性脂肪値は太っている人で高い傾向があり、食欲の調節(食欲の抑制)にかかわるメラノコルチン4受容体 (MC4R)というタンパク質の遺伝子近くに変異(遺伝子多型)を持つ人には肥満が多いことが知られています。しかし、この遺伝子多型と中性脂肪値との関連は明らかになっていません。

 そこで、私たちはJ-MICC研究に参加された2,035人の方のnear MC4R遺伝子多型と中性脂肪値との関連について調べました。

 near MC4R遺伝子多型のTT型に比べてTC型、CC型で肥満が多いことは欧米人や日本人を含むアジア人など様々な人種で報告されています。私たちの検討の結果、TT型に比べてTC型、CC型で中性脂肪値が高いことが分かりました(図1)。また、この関係は肥満やエネルギー摂取量、そして運動習慣などの生活習慣の個々の違いに関係なく存在していました。
 中性脂肪値が高くなりやすい遺伝子型を持つ人は、食生活や運動習慣などの生活習慣により気を付ける必要があると考えられます。

図1.  Near MC4R遺伝子多型と中性脂肪値との関連

出典:

  • Katsuura-Kamano S, Uemura H, Arisawa K, Yamaguchi M, Hamajima N, Wakai K, Okada R, Suzuki S, Taguchi N, Kita Y, Ohnaka K, Kairupan TS, Matsui D, Oze I, Mikami H, Kubo M, and Tanaka H for the Japan Multi-institutional Collaborative Cohort (J-MICC) Study Group. A polymorphism near MC4R gene (rs17782313) is associated with serum triglyceride levels in the general Japanese population- the J-MICC Study. Endocrine. 2014;47:81-89.
カテゴリー: メタボリックシンドローム, 遺伝子多型 パーマリンク