BMAL2遺伝子多型は2型糖尿病の罹りやすさに関連する

研究ファイルNo.33:肥満者において、時計遺伝子のひとつBMAL2遺伝子多型は2型糖尿病の罹りやすさに関連する可能性がある

 2型糖尿病は、高血糖が長く続くことで神経障害や腎症、動脈硬化による脳卒中や心筋梗塞などの合併症を引き起こしやすくなります。最近の研究で私たちの体の体内リズムを調節する時計遺伝子が糖尿病と関連があることがわかってきました。
しかし、時計遺伝子の主要な遺伝子のひとつであるBrain-muscle-Arnt-like protein-1 (BMAL1, ARNTL)やBMAL2の一塩基多型(SNP)と2型糖尿病との関連についてはまだ十分に明らかにされていません。

 そこで私たちは、J-MICC 研究に参加された35-69歳の2,467名(男性1,232名、女性1,235名)のなかで、BMAL1 rs11022775(マイナーアレルT>メジャーアレルC)、rs2290035 (T>A)とBMAL2 rs7958822(G>A)と2型糖尿病の罹りやすさとの関連を調べることを目的に研究をしました。

 体格指数Body mass index (BMI) 25kg/m2を境に肥満者とそうでないグループにわけ、男女別にマイナーアレルの有無で2型糖尿病の罹りやすさが異なるかを分析しました。また遺伝子の違いと肥満との複合的な作用(交互作用)も合わせて分析をしました。

 解析の結果、肥満を伴うとBMAL2 rs7958822のマイナーアレルAを持つ人が持たない人と比べて男性では2.2倍、女性では2.7倍2型糖尿病に罹りやすいことが分かりました。男性においては遺伝子型と肥満との交互作用は統計的に有意でした。
これらの結果から、BMAL2 rs7958822は肥満によるインスリン抵抗性と組み合わさって2型糖尿病の罹りやすさに関係する可能性が考えられます。このことから、BMAL2 rs7958822のマイナーアレルAを持つ人は2型糖尿病予防のため肥満にならないようにより気をつける必要があるかもしれません。

図1

出典:

  • Yamaguchi M, Uemura H, Arisawa K, Katsuura-Kamano S, Hamajima N, Hishida A, Suma S, Oze I, Nakamura K, Takashima N, Suzuki S, Ibusuki R, Mikami H, Ohnaka K, Kuriyama N, Kubo M, Tanaka H; Japan Multi-institutional Collaborative Cohort (J-MICC) Study Group.
    Association between brain-muscle-ARNT-like protein-2 (BMAL2) gene polymorphism and type 2 diabetes mellitus in obese Japanese individuals: A cross-sectional analysis of the Japan Multi-institutional Collaborative Cohort Study. Diabetes Res Clin Pract 2015;110:301-308.
カテゴリー: J-MICC研究概要, 糖尿病, 肥満, 遺伝子多型 パーマリンク