研究ファイルNo.16:細胞外基質分解酵素の遺伝子多型の組み合わせで変わる慢性腎臓病の割合
私たちの細胞を作っているコラーゲンなど細胞外基質を分解する蛋白を、マトリックスメタロプロテアーゼ(Matrix metalopretoinase、MMP)と言います。例えばオタマジャクシの尻尾が吸収されるのに関係していますが、人間ではこの酵素が多すぎると関節リウマチなどが、少なすぎると動脈硬化が進み心筋梗塞や脳梗塞などが増えることが分かっています。細胞外基質の合成と分解のバランスがいろいろな病気の予防に役立っています。
そこでJ-MICC研究に参加された3323人の方のマトリックスメタロプロテイナーゼの遺伝子多型と腎臓の機能との関連を調べました。
すると、マトリックスメタロプロテイナーゼ-9(MMP-9)という蛋白の遺伝子多型の組み合わせによって、慢性腎臓病の割合が違うことが分かりました。
慢性腎臓病になるリスクの高い遺伝子多型を持っている人では、早期からの予防が大切と言えます。
出典
- Okada R, Kawai S, Naito M, Hishida A, Hamajima N, Shinchi K, Turin TC, Suzuki S, Mantjoro EM, Toyomura K, Arisawa K, Kuriyama N, Hosono S, Mikami H, Kubo M, Tanaka H, Wakai K; the Japan Multi-Institutional Collaborative Cohort (J-MICC) Study Group. Matrix metalloproteinase-9 gene polymorphisms and chronic kidney disease. Am J Nephrol.2012;36(5):444-450.