研究ファイルNo.63:第14番染色体上遺伝子rs4982753が日本食摂取嗜好に関連していた
食事パターンに対して近年関心が高く、食事パターンと長命に関連した多くの研究が行われています。食事パターンのなかで地中海食パターンは最も注目されていて、関連論文数は1985年以来一貫して増加しています。ところが日本人の寿命は地中海諸国より長いので、和食パターンについて研究する必要があります。最近の研究で日本食パターンは総死亡や脳血管疾患発症・死亡を減らすことを証明した報告が出てきています。いくつかの食品の摂取嗜好には遺伝的背景があることが分かってきていますので、食事パターン嗜好についても遺伝的背景がある可能性があります。
そこで今回、私たちはJ-MICC研究に参加された約14,000名の研究参加者の中から総食事摂取量が1日500~5,000kcalの範囲外の人などを除外した14,079人を選び出し解析を行いました。1日平均食品群摂取量をアンケートデータをもとに半定量食品頻度法で計算したデータを用いました。日本食パターンの指標は先行疫学研究で使用されたOkadaらの日本食スコアを用いました。すなわち食品群の中で(1)豆類や豆腐、(2)魚、(3)野菜、(4)キノコ類、(5)海藻類、(6)果物の摂取量が男女別中央値より多い場合は1点、少ない場合は0点として合計0~6点のスコアを各研究参加者について求めました。Okada日本食スコアには漬け物摂取も1群として含まれていましたがJ-MICCアンケートには漬け物群が含まれていなためこの群は省きました。Okada日本食スコアと約800万か所の遺伝⼦変異との関連をゲノムワイド関連解析(GWAS)という⼿法で網羅的に調べました。統計上の調整因子として年齢、性、総摂取熱量、集団階層化を補正するための遺伝子主成分1-10を用いました。予備解析で第6染色体の主要組織適合性複合体領域の遺伝子変異の関連が示されたので、遺伝子主成分を計算する際通常の処置である主要組織適合性複合体領域除外を行いました。 続きを読む