現代日本人はどうやって生じたか

研究ファイルNo.12: 日本人形成の2重構造モデルは正しいようだ

現代日本人は,数万年前から日本列島に来たいわゆる「縄文系」の人々と,縄文時代末期から弥生時代にかけて日本列島に来た「弥生系」の人々の混血により生じたとする2重構造モデルは故・埴原和郎先生により提唱された仮説ですが,現在では基本的には正しいものとされています.この説では,弥生系の人々が日本列島の中心部に多く入ってきたことから,日本列島の中心部では弥生系の人々の特徴が強くあらわれ,列島の両北端では縄文系の人々の特徴が色濃く残るとされています.

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閉経年齢に関わる遺伝子多型

研究ファイル No.11: インスリン抵抗性に関わるPPAR関連遺伝子多型が自然閉経年齢に与える影響

女性が自然に閉経する年齢は、42~58歳ぐらいまでと幅広く(平均は50~51歳ぐらいですが)、個人差がかなり大きいイベントと言えます。早すぎる閉経は、女性ホルモンの欠乏が人生の早い時期から生じるために、その後の心筋梗塞や骨粗鬆症の危険を高めることがわかっています。したがって、閉経年齢に影響を及ぼす要因を明らかにすることは、閉経後の健康維持のために有意義な情報となります。

最近、メタボリック症候群の本質ともいえるインスリン抵抗性があると自然の閉経年齢が早くなることを示唆する報告がなされています。そこで 続きを読む

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肝機能に関わる遺伝子多型

研究ファイル No.10: COMTの熱不安定性に関わる遺伝子多型rs4680が肝機能に与える影響

タンパク質を網羅的に解析するプロテオミクスの手法を用いて、動物モデルによる肝傷害についての研究を進めたところ、肝臓内のカテコール-O-メチル基転移酵素 (COMT) に変化が見られたことから、COMTと肝機能の関連に着目しました。
COMTは女性らしさに関わるエストロゲンの代謝や、アミノ酸の一種であるチロシンの代謝で働きます。その中のカテコールエストロゲンやカテコールアミンに作用する酵素であり、様々な生理機能の調節に関与します。 続きを読む

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腎機能が悪くなりやすい遺伝子の型

研究ファイル No.9: 慢性腎臓病の割合は、炎症性サイトカインの遺伝子多型によって異なる

私たちの体は厳格に制御された強力な免疫機構に守られています。しかし、その制御が乱れて強く働きすぎると自分自身の体を痛めることがあります。
免疫の活動のひとつを炎症反応と呼びますが、炎症反応を引き起こすサイトカインという細胞同士の情報伝達物質の過剰が持続すると、大事な内臓の血管を痛め、心筋梗塞や腎不全になりやすくなると考えられています。

J-MICC研究に参加された3323人の方の腎臓の機能と炎症性サイトカインの遺伝子多型の関連について調べました。 続きを読む

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お酒への強さに関係する遺伝子にも地域差

研究ファイル No.8: 生活習慣や健診データに関係する遺伝子型の地域差

 J-MICC研究では、遺伝的要因と生活習慣や健診データなどとの関係を調べるため、全国10地区で研究に参加されている方の中から4519人について、108種類の遺伝子型(タイプ)を調べました。その結果、遺伝子型の中には、地域によって頻度にかなりの差があるものもあることがわかりました。 続きを読む

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森林浴と血圧の関係

研究ファイル No.7: 森林浴を高頻度でしていても血圧値は低くはない

森林浴はよく知られている健康増進方法の一つですが、効果に関する研究は途上段階です。「どんな人が、どのような方法で行えば、どんな効果が見込めるのか」というような具体的なガイドラインはまだありません。今回は、静岡地区の4666人を対象にし、血圧について解析を行いました。その結果、森林浴を高頻度で行っている人でも、行っていない人より高血圧の人が少ないとか、血圧値が低いというようなことはありませんでした。更なる研究が必要ですが、今回の調査結果では、森林浴を高頻度で行っても、高血圧や血圧値とは関連がないことが示されました。 続きを読む

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食事パターンと炎症のかかわり

研究ファイル No.6: 食事パターンと高感度CRP(血中炎症マーカー)との関連について

日本人の食事パターンと高感度CRPとの関連を検討しました。男女別に5つ(健康型/欧米型/魚介類型/パン食型/デザート型)の食事パターンを導きだしました。男性のCRPは、健康型、パン食型、デザート型で低くなり、魚介類型で高くなる傾向が見られました。一方、女性のCRPは、健康型で低くなり、欧米型で高くなる傾向が見られました。

日本人男女における健康型の食事パターンは、炎症の抑制と関連している可能性があります。
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日本人のメタボの基準値について

研究ファイル No.5: 日本人のメタボリックシンドロームの腹囲基準値の検討および他の身体計測指標の検討

メタボリックシンドロームの腹囲基準値には異論も多い現状です。今回、高血圧、脂質異常、高血糖を2つ以上保持している方を検出する腹囲の値、および腹囲以外の身体計測指標(BMI、体脂肪率、腹囲/身長比、腹囲/臀囲比)で、上記の方の検出力を比較致しました。

対象者は佐賀市でJ-MICC Studyに参加した者(40-69歳)の内、空腹時採血ができた844人です。ROC解析をした結果、腹囲の値は、男性88cm、女性 82cmでした。また、腹囲以外の身体計測指標でも腹囲と同等の検出力を示しました。
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静岡地区参加者の森林散策回数

研究ファイル No.4: 静岡地区における森林散策頻度

一般住民の方が、どの程度、森林散策を行っているのかというデータは少ないため、静岡地区の参加者4666人の森林散策頻度を明らかに致しました。その結果、月1回以上、森林散策を行っている人は男性で20.3%、女性で17.4%でした。年1回以上は、男性57.3%、女性53.5%でした。北海道八雲町と比較したところ、静岡地区の方が森林散策をしている人の割合が高く、森林散策を好きな人の割合も高いことが明らかになりました。なお、森林散策を高頻度で行っているのは、森林が好きな方、年齢が高い方、女性より男性という結果でしたが、これは八雲町と共通でした。 続きを読む

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佐賀地区ベースライン調査の参加率

研究ファイル No.3: ジェイミックスタディー佐賀地区のベースライン調査への参加率に関する検討

2005年11月から2007年12月に40~69歳の佐賀市民61,447人全員に、調査への参加依頼文を郵送したところ31,002人(50.5%)から返信があり、12,078人(19.7%)が調査に参加して下さいました。返信率、参加率ともに、女性が男性よりも高く、年齢が上がるほど高く、調査会場の利便性がよい場合や、依頼文書に返信がない場合に再度依頼文を郵送した場合に高いという特徴がありました。 続きを読む

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