研究ファイルNo.80:遺伝的多型の総合スコア(ポリジェニックリスクスコア)と高血圧
近年のゲノム医学研究では、疾患の遺伝的な要因を網羅的に探索するゲノムワイド関連解析研究(GWAS)が盛んに行われ、疾患と関連する遺伝的変異がこれまでに多く同定されてきました。GWASに続く研究の1つとして、遺伝的変異の総合スコア(いわゆるポリジェニックリスクスコア)が疾患の診断・予測に有用であることが欧米人集団を中心に報告されていました。一方で、遺伝的な背景や生活様式の異なる他の集団ではPRSの精度が低いことも報告されていました。
そこで、J-MICC研究の参加者のうち遺伝子型を同定している12,000人でPRSを計算し、高血圧の保有率、収縮期血圧や拡張期血圧との関連を横断的に調査しました。PRSを計算するための各遺伝的変異の効果量については、バイオバンクジャパンで行われたGWAS結果を参考にしました。高血圧の基準については、1)収縮期血圧が130mmHg以上、2)拡張期血圧が85mmHg以上、3)降圧剤の服薬のいずれかに該当する者としました。 続きを読む