研究ファイルNo.83:プレイオトロフィンは痛み、鎮痛薬感受性と関連する
厚生労働省が定期に実施している国民生活基礎調査でも腰痛や関節痛、頭痛は国民の多くが悩まされていることが明らかになっている他、がんの患者さんでもがんの進行度に関わらず痛みに悩まされていることが多いことが知られています。痛みは生活の質(Quality of life: QOL)を低下させることは当然のことながら、痛みのために身体の活動性が低下し生活習慣病など全身の健康状態の悪化に繋がることも明らかになってきました。そこで、世界保健機関(WHO)は、慢性的な痛みを疾患に伴う症状(例:変形性膝関節症に伴う膝痛)としてだけでなく、慢性的な痛み自体が疾患であると定義しています。
このように痛みは世界的な健康課題として認識されていますが、その発症メカニズムの解明とそれに基づく治療法の開発が不十分です。痛みの原因を究明する研究では、モデル動物を用いた基礎研究が中心となっていますが、ヒトの痛みとの違いも指摘されています。そこで私たちは、痛みのある患者さんの遺伝的に共通する特徴を網羅的に調査することで、ヒトの痛みの発症や重症化に関わる新しい分子を探索することを目的に研究を実施しました。 続きを読む